📒ゆるい自然農|《準備編》②畝立て(レイズドベッド)

皆さんの家庭菜園の畝は、どんな畝でしょうか。私が借りている市民農園の土壌は粘土質で、雨が降ると水が溜まりやすく、水はけの悪さがずっと悩みでした。水はけが悪いと野菜が根腐れを起こしたり病気にかかりやすくなったりするため、対策として高畝を作る必要があります。しかし、高畝は時間が経つとすぐに畝の肩が崩れてしまい、きれいな形を維持するメンテナンスが想像以上に大変でした。

今回は、自然農を始めるにあたって、どう畝立てを考えればよいのか、私が色々試行錯誤してたどり着いた畝立て(レイズドベッド)についてご紹介したいと思います。この記事が皆さんの参考になれば嬉しいです。

目次

レイズドベッドの利点

高畝対策として、まず目をつけたのが「レイズドベッド」です。熱帯雨林の植物を見てもわかるように、実は、植物の生育に必要な栄養豊かな土の層は、表層の20cmほどあれば十分だったりします。

枠を使って高さを15cmほど確保し、その枠内だけを理想的な土壌にできれば、圃場全体の土を改良しなくても野菜はすくすくと育つはずです。 そこで、このレイズドベッドの枠内に自然農の手法を取り入れ、不耕起で土の団粒構造を育てていこうと考えたわけです。

木枠があることで畝の端まで無駄なく使えますし、なにより区画がハッキリして見た目が美しく整うのが嬉しいポイントです。草が多少生えていても「しっかり管理されている感」が出るのも魅力ですね。特に市民農園で慣行農法をやっている方は、雑草を敵視しているので、管理されていない圃場だと文句を言われかねません。

さらに、枠があることで大雨が降っても大切な土や養分が流れ出るのを防いでくれます。通路にも雑草を生やすことで、雨の日に足元がベタベタにならず、刈り取った草はそのまま「草マルチ」として活用できるなど、たくさんのメリットを実感しています。

安く丈夫に作るレイズドベッドの設計

レイズドベッドを設置するにあたって、まず計画と設計を行いました。設置場所が市民農園の場合、外部から大量の土を新しく持ち込むのが難しいケースが多いと思います。そのため、通路部分の土をスコップで掘り進め、その土を畝の中央へ積み上げることで高さを出す方法をとりました。

しかし、このやり方の問題点は、降雨時に周りから水を引き込んでしまうことです。私はこの対策として、圃場の周囲を取り囲むように緑肥作物を植えて雨水の流入を防ぐことにしました。そのため、畝の設計では外周に500mm幅(緑肥350mm、溝150mm)のスペースを取っています。また、通路に溜まった雨水は排水できないため、敢えて、通路に傾斜を付けず、圃場全体に雨水が均等に浸透するようにしました。

畝の向きは、太陽の光が均等に当たるように南北方向を基本としています。私の借りている約40㎡(5.5m×7.2m)の区画では、作業のしやすさを考えて畝幅1mのものを2本(夏⇔冬畝の交互作付)、1.2mのものを2本配置(連作畝)することにしました。1.2m以上の幅にしてしまうと、反対側から手が届かなくなって作業が大変になるので、このサイズ感がちょうど良いと感じています。

そして、意外と重要なのが「通路の広さ」です。通路幅は最低でも600mm確保しておくと、野菜のお世話や収穫がとてもスムーズになります。また、刈り取った雑草を一時的に置いておくスペースとしても重宝します。実際に畝立てする前に、余裕を持ったレイズドベッドの配置図をノート等に描いておくと良いでしょう。下図は、私の畝の設計図です。

枠の素材には、ホームセンターで手に入る安価な「杉野地板(180mm幅)」を採用しました。これに園芸用の支柱と耐候性結束バンドを組み合わせることで、コストを抑えつつしっかりと固定できます。野地板の耐久性は5~6年ほどかと思いますが、自然農の不耕起栽培であれば一度設置してしまえば頻繁に動かす必要もないため、十分実用的だと感じています。

畝立てにあたって、いくつか買わないといけないものがあります。私の場合、前回の「道具を揃える」の記事で持っているものを除いて、1.7万円/40㎡でした。

レイズドベッド施工の具体的なステップ

それでは、実際の施工手順をご紹介します。

STEP
墨出し

畝の設計図にしたがって、水糸とペグを使って畝の四隅の位置を決めます。この作業は、支柱が直線上に並ぶよう、水糸を使うのがコツです。できれば2人で行うのがスムーズです。
《用意するもの》
・ 水糸 (¥101)+ペグ (¥110)
メジャー(5m)(¥447)


 + 

STEP
支柱立て

園芸支柱を、水準器で垂直を確認しながら、約500mm(畝高を含む)地中に打ち込みます。支柱は、畝の四隅と長手方向の真ん中に立てます。
《用意するもの》
園芸支柱(φ16、長さ1,500mm 5本)(¥948)必要な本数
水準器(¥2,473)
 

STEP
高さの基準出し

透明ビニールホースを使った「水盛り」で、すべての支柱に同じ高さの基準線をマーキングします。
《用意するもの》
・バケツ(水面の面積がなるべく大きいものが良い)
透明ビニールホース(内径4mm)(¥1,099)

①バケツに水を入れ、圃場の真ん中あたりに、地上高50cm位の高さに置きます。次に、ホース端をバケツの中に入れ、外れないよう固定します。

②バケツの水面よりも低い位置で、ホースの反対側の端を口に含んで空気を吸い込むと、ホース内を水が進みます。端まで水が来たら、バケツの水面よりも高い位置に端を上げて、ホース内の水の流れを止めます。

③このホース内の水面の高さが、バケツの水面の高さと一致しますので、これを利用して、ホースの水面の高さを支柱にマーキングします。マーキングには黒のビニールテープを使います。マジックだと数週間は持ちますが、いずれ消えて見えなくなってしまいます。最後にマーキング位置が正しいか、すべての支柱にホースをもう一度当てて確認します。

この作業の注意点として、支柱の間を移動する時は、ホースの端を指で押さえて、水が溢れないようにして下さい。水が溢れてしまうと、高さが変わってしまいます。

STEP
通路の掘り込み

スコップで通路部分を掘り進め、掘り上げた土を畝側に積み上げます。この作業は体力を使うため、数日に分けて行うのがおすすめです。

《用意するもの》
ショベル(大) (¥2,220)
・ 水糸 (¥101)+ペグ (¥110)
   +
掘り込む位置に水糸を張って、水糸に沿ってショベルで切込みを入れます。通路の反対側にも同様にして切込みを入れ、その間をショベルで掘り進めます。最終的に畝の高さがどのくらいになるかを計算して、枠の高さより少し大きくなる位置まで掘る深さを決定して下さい。

STEP
枠の組付け

杉野地板を畝の長さに合わせてカット・接合し、支柱へ耐候性結束バンドで固定します。最初はゆるく通し、全体の位置調整が終わってからしっかり締め付けます。

《用意するもの》
杉野地板(12✕180✕2000 5枚)(¥1,680)必要な長さ分
耐候性結束バンド(150mm 100本)(¥318)
・のこぎり
・充電ドライバー、φ5mmドリル、コーススレッドねじ

 

①まず、畝のサイズに合わせて、杉野地板をカットします。長手方向は、長さが足りないので、100~150mm幅にカットした野地板を重ねてコーススレッドねじで固定し、継ぎ足します。この際、野地板がまっすぐつながる様に、水糸で直線を出してその線に沿わせて野地板を置くのがコツです。穴開け位置は、下図のようにしました。

②実際の支柱の位置は設計図と微妙にズレているので、設計寸法でカットすると組み立てた時にぴったりと合いません。私は、短手方向だけ支柱間の長さを測定して事前にカットし、長手方向は継ぎ板でつなげた後、現物にあわせてカットし、その後、穴開けを行いました。長手方向の真ん中の支柱に留める穴も現物に合わせて開けます。もし、野地板が畝にあたって膨らんでいれば、畝を削って修正して下さい。カットの際は、板の厚みを考慮しないと、きれいに収まりませんので注意して下さい。

③野地板のカットと穴開けが終わったら、いよいよ組み立てです。STEP3の基準高さからの距離を決めて、支柱に枠の上端が来る位置をマジックでマークします。

④畝の角で野地板2枚を支柱に沿わせて下の穴に結束バンドを通し、支柱を巻いて野地板側でゆるく結束します。この時、上の穴にはまだ通しません。全ての四隅の下の穴の結束バンドを通し終わったら、上の穴も同様にゆるく結束します。問題なく野地板が設置できていれば、枠の上端位置を合わせて、結束バンドを硬く締めます。

STEP
畝の整地

まず、枠に近い土を少し崩して枠と畝の隙間を埋めます。積み上げた土は塊があるので、うまく隙間を埋めることが出来ません。崩した土の部分が凹むので、積み上げた土の塊をほぐしながら平らに均し、かまぼこ状に整えます。

土を落ち着かせて作付けへ

畝立てが終わった直後の土は空気を多く含んでフカフカしすぎているため、苗を植えても根が安定しづらい状態です。そのため、すぐに作付けをするのではなく、数日から2週間ほど置いて土が自然に落ち着くのを待つようにします。できれば、ひと雨降って土が十分馴染むのを待つのがベストです。

手軽な材料で作るレイズドベッドですが、土壌改善の手間を最小限に抑えつつ、管理しやすく美しい畑を実現する有効な手法だと感じています。粘土質の土壌や水はけでお悩みの方の参考になれば幸いです。

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