
人生の後半に差しかかると、「自分がこれまでどんなことを経験し、どんなことを考えて生きてきたのか」を形に残しておきたいという気持ちが、自然と湧き上がってくることがあります。万が一自分がこの世を去った後にも、家族が「お父さんはこんなことを考えて、こんな風に生きていたんだな」と懐かしく思い出してくれるような、確かな記録を残しておきたい――私自身、そんな思いを抱くようになりました。
これまではノートやメモ帳に思いついたことを箇条書きにしたり、簡単なポンチ絵を描いたりして残していたのですが、どうしても情報が散らばってしまい、必要なときに振り返るのが難しくなっていました。そこで私がたどり着いたのが、「公式ブログ」を立ち上げて自分自身の歩みを体系的に記録する「ブログ版自伝」という形です。
この記事では、なぜ紙ではなくブログという形を選んだのか、モチベーションを維持しながら無理なく発信を続けるためのnoteとの使い分け、そして記事を書き続けることがマイクロ法人の事業実態づくりにもつながるという実利的なメリットまで、私自身の経験をもとに全体像をお話ししてみたいと思います。「自分も何か記録を残してみたいけれど、どう始めればいいか迷っている」という方の参考に少しでもなれば幸いです。
なぜ紙ではなく「公式ブログ」で自伝を残そうと思ったのか
これまで私は、自分の考えや日々の学びを紙のノートやスケッチブックに手書きで書き留めていました。頭の中のイメージをポンチ絵にしたり、思いついたアイデアを箇条書きにまとめたりするのは楽しい作業なのですが、冊数が増えてくると「あのメモはどこに書いたっけ?」と探すだけで一苦労です。また、手書きのノートでは写真や動画を一緒に保存しておくことが難しく、紙のノートとパソコン内の電子ファイルを無理やり併用するような、なんとも中途半端な管理になっていました。
私の親戚の中には、人生の節目に自費出版で立派な自伝本を作っている人が何人かいました。本という形にするのも重厚感があって素晴らしいのですが、自費出版にはまとまった費用がかかりますし、一度印刷して製本してしまうと、後から「やっぱり書き直したい」「続きを書き足したい」と思っても修正ができません。
その点、ブログであれば低コストで始めることができ、後からの推敲や加筆も自由自在です。写真や図解も思い通りに配置できますし、カテゴリやタグで整理しておけば、読みたいページへ一瞬でたどり着けます。今の時代において、自分の歩みを記録する媒体としては、ブログが最も適しているのではないかと感じました。
ただし、ブログで自伝を残すことにもデメリットやリスクはあります。自費出版のような初期の大きな出費はないものの、独自ドメイン代やレンタルサーバー代といった数百円から千円程度の維持費が毎月継続して発生します。
また、サーバーの不具合や契約の失効によってデータが消えてしまうリスクもあるため、定期的にバックアップを取っておくといったデジタル特有の管理が必要になる点は、あらかじめ理解しておく必要があります。なお、具体的な公式ブログの立ち上げ方については、下記の記事をご覧ください。

まずはnoteから?公式ブログとnoteを賢く併用する理由
ブログを作ると聞くと、「HTMLやCSSのコードを勉強して、難しい設定をしなければならないのでは」と身構えてしまう方もいらっしゃるかもしれません。しかし今では、WordPress(ワードプレス)とSWELLなどの高機能なブロックエディタを使うことで、プログラミングの知識がなくても驚くほど簡単に見栄えの良いページを作ることができます。
さらに手軽な選択肢として「note」があります。noteは機能がシンプルに絞り込まれているため、文字の色を変えたり枠線で飾ったりといった細かなレイアウトはできませんが、会員登録をしてすぐに文章を書き始められるという素晴らしい手軽さがあります。
そして何より、noteには「最初から読者に届きやすい」という大きな強みがあります。note独自のレコメンド機能のおかげで、新しく書いた記事であってもおすすめ欄や検索に表示されやすく、書き始めて間もない頃から読者の方に読んでもらえたり、「スキ」をもらえたりします。自分の書いた文章にすぐ反応がもらえることは、執筆のモチベーションを保つ上で本当に大きな力になります。
一方で、いきなりWordPressで公式ブログを立ち上げると、現実はかなり厳しいものになります。立ち上げたばかりの個人ブログは、検索エンジンの上位に表示されることなどまずありません。インターネットの海にぽつんと浮かぶ無人島のような状態で、誰にも読まれない日々が何週間も、何ヶ月も続くことになります。この「完全な無風状態」に耐えられず、ブログを挫折してしまうリスクは非常に高いと言えます。
そこで私が実践したのは、「まずnoteから始めて、後から公式ブログを併用する」というアプローチでした。私自身、noteで30記事ほど書きためて発信の手応えをつかんだ段階で公式ブログを開設しました。noteの記事に公式ブログへのリンクを貼っても、最初は1日に数人訪れてくれるかどうかというレベルでしたが、アクセスが完全なゼロであるのと、たとえ数人でも読んでくれる人がいるのとでは、心の持ちようが全く違います。
また、noteで多くの「スキ」を集めた記事は、特定のキーワードでGoogle検索の上位に評価されることもあります。そのため私は現在、「noteには要約版を書いて広く読んでもらい、より詳しい背景や体系的な解説は公式ブログでじっくり読んでもらう」という使い分けをしています。最初から完璧な公式ブログを目指すのではなく、まずはnoteで発信の楽しさを味わってから徐々に広げていく進め方は、無理なく続ける上でとてもおすすめです。他のSNSとの使い分けについては、下記の記事をご覧ください。

記事の量より「推敲」と「体系化」を大切にする私のスタイル
一般的なブログ運営やアフィリエイトの世界では、「とにかく記事数を増やそう」「毎日更新してアクセスを集めよう」といったノウハウがよく語られます。しかし、私の自伝ブログではそうした方針は取らないようにしています。
記事の数をむやみに増やすことよりも、すでに書いた記事を何度も読み返し、新しい気づきがあれば加筆し、表現をブラッシュアップしていくことを大切にしています。記事数が多すぎると、読者にとってもどの記事を読めばよいのか迷ってしまいますし、何より書き手自身の手が回らなくなって一つひとつの内容が薄くなってしまうからです。
私にとって自伝ブログの最大の目的は、アクセス数を競うことではなく、「自分の頭の中を整理し、自分がやってきたことの意味を自分自身で腹落ちさせること」です。自分の経験や考えを体系立てて分かりやすい言葉にまとめ直す作業そのものが、これまでの人生を深く肯定するための大切な時間になっています。
この「量より質」「推敲重視」のスタイルにもデメリットはあります。短期間で検索トラフィックを急増させたり、爆発的なPV数を稼いだりすることは難しいという点です。数字の伸びを第一の喜びにしたい方にとっては、少しもどかしく感じられるかもしれません。しかし、息の長い資産としてじっくりと自分の記録を育てていきたい方には、非常に心地よいペースだと感じています。
マイクロ法人を運営する人にとっても大きな実利がある
自伝としての記録や自己整理のほかに、私が公式ブログを運営している大きな理由がもうひとつあります。それは、「マイクロ法人の確かな事業活動の証拠になる」という実利的な側面です。
私は現在、マイクロ法人を運営しています。マイクロ法人を設立する主な目的として「社会保険料の適正化」を挙げる方は多いと思いますし、私自身もその恩恵を大いに受けています。しかし、法人である以上は、単に節税のためだけに存在するのではなく、しっかりと事業活動を行っている実態が求められます。
インデックス投資などの資産運用で利益を出すことも可能ですが、それだけでは税務や社会通念上、「事業活動を行っている」と胸を張って主張するにはやや説得力に欠ける面があります。ましてや何の事業収益もない状態が続けば、実態のないペーパーカンパニーではないかと疑われるリスクもゼロではありません。
そこで大いに役立つのが、ブログでのアフィリエイト収入や、noteでの有料記事販売といった情報発信ビジネスです。ブログの記事には公開日や更新日が明確に記録されるため、「定期的にコンテンツを作成し、収益化に向けた営業・事業活動を継続して行っている」という動かぬ証拠になります。日々の業務記録を付けたExcelファイルなどと合わせることで、法人の事業実態をしっかりと証明できるのです。
以前の記事で、日々の行動をExcelで記録することについて取り上げています。興味のある方は、ぜひご覧ください。

もちろん、ここにもデメリットや注意点はあります。ブログやnoteの収益は必ずしも安定して大きく稼げるわけではなく、月に数百円や数千円程度にとどまることも珍しくありません。また、法人名義での契約や経理処理、確定申告の手間が個人ブログよりも増えるという負担もあります。しかし、実質的に社会保険料の削減分を法人の大きなメリットと捉えれば、ブログ自体の直接的な利益がわずかであっても、事業実態を維持する手段として十分すぎるほどの価値があると私は納得しています。
皆さんもご自身の歩みを振り返る「ブログ版自伝」、まずはnoteの1記事から気楽に始めてみてはいかがでしょうか。

