もし、退職前に戻れたら…。今なら、こうする50代の早期退職。

長年勤めた会社を50代で早期退職する際、「いつ辞めるのが一番良いのか」「退職後のお金や社会保険はどう立ち回ればいいのか」と悩む方も多いのではないでしょうか。私自身、会社員生活に区切りをつけセミリタイア生活に入りましたが、振り返ってみると「事前に知っておいて助かったこと」や「今ならこう立ち回る」という反省点・気づきが数多くあります。

この記事では、私が実際に経験した「6月末退職」のメリット・注意点から、失業保険(基本手当)とアルバイトを組み合わせた生活防衛、そして失業保険満了後の社会保険料対策(就職かマイクロ法人か)まで、私の実体験ベースの流れをまとめました。「これが絶対に正しい」というわけではありませんが、これから早期退職やセミリタイアを目指す方の選択肢の一つとして、少しでも参考になれば嬉しいです。

目次

退職時期は「6月末」が良かった私の理由とお金のリスク

早期退職を決断する際、真っ先に悩むのが「何月末に辞めるか」というタイミングではないでしょうか。多くの企業では、就業規則に「賞与支給日に在籍していること」という条件が設けられています。支給直前の月に辞めてしまうと、それまでの半年間の頑張りに対するボーナス(数十万〜100万円単位)をまるまる失ってしまうリスクがあるため、私は「ボーナス支給月の月末」を意識しました。

結論から言うと、私自身は「6月末退職」を選んで大正解だったと感じています。4月にしっかり引き継ぎを行い、5月・6月を有給消化にあて、6月中旬のボーナスを受け取った上で6月30日付で退職しました。

このスケジュールの大きなメリットは、退職後の半年間(7月〜12月)の収入が失業保険や少額のアルバイトのみに抑えられる点です。その結果、翌年の確定申告で十万円単位の所得税が還付され、さらに翌年度に請求される住民税(前年の所得で計算されるもの)も12月退職に比べて大きく軽減されました。また、失業保険満了の時期が2~3月頃になり、マイクロ法人設立月を4月にできるのも、世間一般の年度と同じになるので良い点です。

もちろん、「12月末まで働いた方が生涯賃金は多くなる」という事実もあります。しかし、そこには「お金を優先してセミリタイアの時期が半年後ろ倒しになる」というデメリットも潜んでいます。お金を取るか、自分の自由な時間を取るか。私は時間を優先しましたが、どちらを重視するかはご自身の資産状況と向き合って決めるのが一番納得できると思います。

また、退職前には「失業保険の満額がいくらになるか」をシミュレーションしておくことも大切です。雇用保険料は高い給与ほど多く引かれますが、給付額には年齢ごとに上限(頭打ち)があります。「給料の8割くらいもらえるだろう」と思い込んでいると、実際の受給額(私の場合は150日分で約120万円ほど)を見て「思ったより少ない」と焦るリスクがありますので、事前の確認をおすすめします。

私が早期退職を決断した経緯は、以前の記事でもご紹介していますので、ご興味のある方は、ご覧ください。

退職直後からハローワーク手続きまでのリアルな過ごし方

有給消化から退職、そして会社から離職票が手元に届くまでの約2〜3ヶ月は、まさに「リタイア初期のパラダイス期間」です。旅行に行ったり、平日のんびり散歩をしたりと、長年の疲れを癒やすには最高の時間になります。ただし、私の実感としては、下記の記事でも書いた通り、何もしない生活はだいたい3ヶ月ほどで飽きが来ます(笑)。

そのため、この期間をただの休養で終わらせず、「ハローワークの手続き後にどんなアルバイトをするか」のリサーチ期間に充てておくのがおすすめです。ただし注意点として、この時期に雇用契約を結んで本格的にバイトをしてしまうと、後のハローワークでの失業認定申告に支障が出るリスクがあります。もし働くのであれば、単発の日雇いバイト程度にとどめ、社会勉強として様々な仕事を覗いてみるくらいが良い距離感だと感じています。

そして退職日を迎える前に、会社には「できるだけ早く離職票を送ってほしい」と事前に伝えておきましょう。手元に届くまでに通常10日〜2週間程度かかりますが、私の場合、1ヶ月もかかってしまい、先に進めない焦りが募りました。(T_T)

原本が届いたら、最短でハローワークへ向かいます。このとき「申請に行った曜日」が、その後の認定日の曜日になることが多いので、ご自身が通いやすい曜日を選んで初回手続きに行くのが小さなコツです。

手続き後の7日間の「待期期間」は、完全に失業していることを確認する期間のため、単発バイトも含めて一切の労働ができません。ここで働いてしまうと待期期間が延長されるペナルティがありますので、しっかりルールを守って静かに過ごすのが無難です。

ハローワークでのリアルなやり取りについては、以前の記事で紹介していますので、ご興味のある方は、ご覧ください。

失業保険をもらいながらバイトで生活を安定させる工夫

待期期間(および自己都合の給付制限期間がある場合はその期間)が明ければ、一定のルールの範囲内でアルバイトをしながら失業保険を受け取ることができます。失業給付だけに頼るのではなく、定期的なバイト収入を少しでも作っておくと、資産の目減りを防ぎ、精神的な不安をぐっと減らすことができます。

ただし、失業保険のルールには厳密な制限があります。「週20時間未満」かつ「1日4時間未満(内職・手伝い扱い)」が基本の目安です。1日4時間未満で働いた日は、退職前の賃金日額に応じた計算式(下記)によって基本手当が減額または先送りの調整を受けます。上限を超えて働きすぎると「就職した」とみなされて失業保険が打ち切られるリスクがあるため、シフトの管理には細心の注意を払う必要があります。アルバイトは、安全を見て1日3時間のシフトにしておきましょう。

1日4時間未満で働いた日は、以下の算定式が基準額を超えると、基本手当が減額または不支給になる。
  判定基準額:退職前の「賃金日額」の80%
  算定式:(1日のアルバイト収入 − 控除額) + 基本手当日額
  ※控除額は毎年改定(概ね1,300〜1,400円程度)

【具体例】
 退職前の賃金日額:12,000円(基準額 80% = 9,600円)
 基本手当日額:6,000円
 アルバイト:時給1,200円 × 3時間 = 3,600円
 計算:(3,600円 − 控除額1,365円) + 6,000円 = 8,235円
⇒ 判定基準額(9,600円)を下回るため、基本手当は減額されず、全額支給される。

また、「退職したらどんなバイトでもすぐ受かるだろう」と甘く見ていると、50代という年齢の壁にぶつかり、書類選考で落とされてショックを受けるリスクもあります。私自身も最初は落とされ、最終的には常時募集している個別指導塾や回転寿司のアルバイトをすることになりました。

常に人手を募集している職場は、即日採用されやすい反面、体力的にハードだったり離職率が高かったりするというデメリットの裏返しでもあります。だからこそ、1つの仕事に依存せず、「週に数日は体を使う仕事、週に1〜2日は頭を使う仕事」といったように複数のバイトを掛け持ち(短時間×複数)してリスク分散を図るのが、精神的にも体力的にも続けやすいやり方だと感じています。

失業保険の受給終了後、健康保険と働き方をどう着地させるか

失業保険の給付が満了(私の場合は150日分で翌年の2〜3月頃)に近づいてきたら、いよいよその後の「健康保険」と「働き方」の着地点を決める必要があります。50代の早期退職において、最もインパクトが大きいのが社会保険料(特に健康保険料)の負担です。

退職直後は、前年の高い年収に基づいて算定される国民健康保険を避け、保険料に上限がある会社の「任意継続健康保険」を選ぶ方が大半だと思います。しかし、任意継続も最長2年間しか使えません。満了後の選択肢としては、大きく分けて「週20時間以上働いてパート先の社会保険に加入する」か、「マイクロ法人を設立して社会保険を最小化する」かの2択を検討しました。

本当は、ハローワークで紹介してもらった会社に就職するのが一番良いのですが、紹介された案件はあまり良いものがない(求職・求人雑誌に載っているものと大差ない)ため、結果的に失業保険が満了するまで就職先を探すことが多いです。

パートやアルバイトで週20時間以上(例えば1日7時間×週3日など)働き、その職場の社会保険に加入すれば、前年の所得に関係なく、現在の低い給与ベースで健康保険料・厚生年金保険料が再計算されます。保険料を大きく圧縮できる非常に強力な方法です。ただしデメリットとして、「週20時間以上の労働に時間を拘束される」「体力的な負担が増える」という点があります。なお、50人以下の企業では、原則として社会保険の加入義務がない(2026年9月現在)ので、加入できない場合があります。

一方で、私が選んだもう一つの道が「マイクロ法人の設立」です。役員報酬を低く設定して協会けんぽに加入することで、社会保険料を合法的に最低水準まで抑え、残りの時間を個人の副業や自由な時間に充てることができます。週20時間拘束されることもありません。

ただし、マイクロ法人にも相応のデメリットとリスクがあります。赤字であっても毎年約7万円の法人住民税均等割がかかりますし、法人の設立費用、日々の経理処理、毎年の決算申告といった事務負担を自分でこなす必要があります。「事務作業がどうしても苦手」という方にとっては、大きなストレスになりかねません。

自由な時間と事務手間のどちらを優先するのか。ご自身の適性や体力、目指すライフスタイルに合わせて、じっくり天秤にかけてみてください。私のこの試行錯誤が、これから第2の人生を踏み出す皆さんの参考になれば幸いです。

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